バリアフリー住宅の必要性

高齢者の家庭内事故について

 

高齢者の家庭内事故は重症化する傾向があります

 

超高齢社会になるにつれて、高齢者の家庭内事故は年々増加の傾向にあります。

一般的には、自宅以外(交通事故等)の方が事故に遭う危険性が多いように思いがちですが、実は60%以上が敷地を含む家庭内での事故となっております。

家庭内事故の総数を年齢別で見ると60%以上が65歳以上の方で、高齢になればなるほど高くなります。

統計的に見ただけでも高齢者は家庭内で事故に遭うリスクが非常に高いこという事がわかります。

 

そして更に重要なのは「高齢者の事故は重症になりやすい」、という事です。

 

65歳未満の方が家庭内で事故を起こした時には、重症になる確率は20%前後にとどまりますが、

65歳以上になると、一気に 40% 前後にまで上がってしまいます。こちらも高齢になればなるほど高くなります。

 

主な要因は加齢に伴う四肢筋力の低下、関節の拘縮等による 転倒 です。

転倒は骨折等の大きな怪我につながりやすく、特に高齢者の骨折は治療が長期化する場合が多く、治療後の日常生活を大きく変えてしまうリスクがあります。

 

 

怪我の原因となった場所とは??

家庭内での怪我の原因となった場所は

階段

が最も多く、その次に廊下や居室の床、ベッド、浴室と続きます。

高齢者の家庭内事故の6割近くが、転落や転倒によるものです。

 

具体的には、

・室内や屋外の階段でのつまづきや滑りによる転倒、転落

・電気配線や床の敷物に足をとられる(床に置いた雑誌や広告で滑る)

・風呂場の段差や床などで滑る、浴槽をまたぐ際の転倒

・屋外で木の剪定や高い場所での修理や清掃などを行った際の高所から転落

等が挙げられます。

そしてそこには、原因となっている障害物(障壁)がどこかに必ず存在します。それらを見つけて取り除く事で、事故を未然に防ぐ事ができます。

 

このように、障壁を見つけてを取り除いた住宅が「バリアフリー住宅」です。

それでは・・・どのようにすれば「バリアフリー住宅」に出来るのか?

それを考えて実行していくのが私たち 福祉住環境コーディネーター の仕事です。

 

段差を無くせば済むのか?

滑り止めが必要か?

手すりを取り付ければ全てが安全になるのか?

ご家族がご自身で出来る事は無いか?(物の移動、電気配線などの整頓、雑誌などの片づけ等)

ご自身が出来る事は無いか?(靴下の滑り防止、滑りにくいスリッパを履く、スリッパを履かない)

 

それらを注意深く観察し、発見をして改善を行う事が大切です。

 

 

バリアフリーリフォームの業者を選ぶ際には・・・・

 

バリアフリーリフォームは命に関わる部分の住宅改修です。一般的なリフォームと異なり、見た目だけや金額の安さだけにとらわれない慎重な業者選びが重要です。

福祉住環境整備 について深く理解した業者を選ぶ事が大切です。

 

住まいる悠では次に挙げる項目を重要に考えております。

・現地調査による問題点の抽出を行う(何が不便で不自由か、自立性を向上できるか)

・問題点の発見と改善方法の検討(自立性の向上を重視)

・下地強度の確認と補強方法の検討(絶対に取れないてすり取り付け等)

・直接的な施工及び施工管理(丸投げはしない)

・施工後の確認と調整(施工後の動作確認を行い必要に応じて調整を行う)

 

福祉住環境整備を専門に行う業者は、手すり1本の依頼もきっと嫌がらずに来てくれます。

 

 

室温のバリアフリーも大切です。

高齢者の家庭内の死亡事故で最も多いのは  浴室での溺死 です。

これは特に冬に増加します。

原因は血圧の変動によるもので、部屋と部屋の温度差が大きい程、血圧に対しても大きく影響するようです。

特に浴室は脱衣室との温度差による血圧に与える影響や、お湯につかった時の医学的なメカニズムによるリスクが多く、目まいやふらつき等の意識障害に起こす事が多いようです。

年間に1万人以上の高齢者が入浴中に急死をしています。その大半は溺死です。

寒い脱衣室で血圧は上昇し、お湯につかった時には更に上昇します。しかし、5分前後で血圧は急激に下がります。

医学的なメカニズムによるものだそうです。血圧が下がった時にお湯の中で気を失ってしまうのが死亡原因と考えられています。

その他、部屋と部屋の温度差による高齢者へ与えるリスクは多くあります。

冬の夜中にトイレに行く為、暖かくして眠っていた寝室から寒い廊下へ出た場合、「寒い~」と感じている時、肩に力が入り歯を食いしばるような寒さを感じている時は血圧も急激な変動(上昇)を起こしています。

トイレを暖かくしていた場合は、トイレの中では血圧が下がってきます。そしてオシッコを出し終わると血圧は更に下がり、ここで急激に立ち上がったりすると、立ちくらみを起こしたり、ひどい場合は失神をしてしまう事もあるようです。

特に立ってオシッコをする方(男性)に多いそうですが、オシッコの後に「ブルブル」と体が勝手に激しく震えます。これは小便により失った体温を取り戻そうと医学的なメカニズムにより発生するそうです。

排尿後の血圧低下から急上昇に変動しています。血圧にも心臓にも負担が掛かっている状態です。

これらを防ぐには、部屋同士の温度差(室温差)を大きくしない事です。理想は全ての部屋がほのかに暖かいといいのですが、現実はなかなか難しいかも知れません。なので一部屋だけを急激に温めたりせずにほどほどに暖かくし、何かを羽織るなどしてご自身に与える温度差を小さくするように心がける事が大切です。

これが 室温のバリアフリー です。

残念な事に、現在は介護保険ではノータッチの状態です・・・。